どの様な声で?
宗教曲を歌っていると、よくどの様な声が必要かという質問が出てきます。
当然の様に言われる事ですが、「ヴィブラートの有る声は駄目」という意見、
これは、バロックの時代でも、そういう人がいますが、「ヴィブラートは天性
のものであり、無くても成功する事はできる」と言う人もいた様で、必ずしも
ヴィブラートが絶対に駄目という訳でもなかったかもしれないのです。私が
京大で研究していた音楽心理学の中でも「ヴィブラートの有る方が人に感
動を与える」と言うのが通説でした。と考えれば、宗教曲でヴィブラートを
禁じるのは「禁欲的な声」を求めたのでしょうし、良くないと言う意見がある
事は、当時ヴィブラートをかけた歌い方もよく見かけられたという事ですね。
教会が芸術に「禁欲性」を求めたのはご存知のとおり中世の時代ですが、
ルネサンスの時代になると、芸術家達を擁護したメジチ家から教皇が現
れたりした為、随分自由になって行ったのです。
さて、今回は敢てヴィブラートを付けてくれとは言いませんが、余りヴィブ
ラートを警戒するあまり、かえってチリメンの様な合唱特有のヴィブラート
をかけてしまわない様にご用心下さい。これ、日本の合唱団に多いので
すが、案外気付いてない人が多いワナです。原因は支えの無さ、又は逆
に力の入れ過ぎ等が考えられます。よく脱力を説く方も多いのですが、
全く脱力すると声が無くなります。家の女房が以前その様に指導されて
上の声が出なくなった事が有ります。
同様に所謂「楽に抜いた声」も要注意です。一見ソフトな声に聞こえま
すが、より支えが必要になりますし、声帯がちゃんと合わなくなります。
これは私自身が経験済みです。


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